日本映画祭「JAPAN CUTS〜ジャパン・カッツ!2017」in NYで『お父さんと伊藤さん』鑑賞
先週、ニューヨークで開催された日本映画祭ジャパン・カッツで「22年目の告白」を鑑賞してきました。ニューヨークで日本映画を大画面で見ることはもう滅多になくなってしまうだろう、ということで今週もまた行ってきました、ジャパン・カッツ。今回鑑賞したのは、『お父さんと伊藤さん』です。
『お父さんと伊藤さん』あらすじ
『百万円と苦虫女』のタナダユキ監督が中澤日菜子の同名小説を映画化した人間ドラマ。書店でアルバイトをしながら気ままに暮らす34歳の彩(上野樹里)は、小学校で給食のおじさんとしてアルバイトをする20歳年上のバツイチ男性・伊藤さん(リリー・フランキー)と付き合っている。小さな古アパートで同棲している2人は、庭で家庭菜園をするなどし、ささやかだが幸せな毎日を送っていた。そんな彼らのもとに突然、息子の嫁との関係がうまくいかずに家を追い出された彩の頑固な父親(藤竜也)が転がり込んで来る。こうしてスタートした3人の奇妙な共同生活がコミカルに描かれる。
2016年|119分|DCP | 監督・タナダユキ|出演・上野樹里 リリー・フランキー 藤竜也 長谷川朝晴 安藤聖
邦題は「お父さんと伊藤さん」ですが、英語のタイトルは「My Dad and Mr. Ito」です。
当日の様子
今度は昼の回なので外は明るめ。 前回は夜の回だったため全部売り切れていたのですが、日本食コーナーを発見!ポップコーンを食べながら、ではなくおにぎりや弁当を食べながら映画鑑賞ができるなんて。おにぎり、もち、焼きそば、日本のお茶など、日本のファンが喜びそうな食品が取り揃えてありました。日本人の方も、結構購入されていました。
感想(ネタバレ注意)
ネタバレを好まない方は、以下の文章を読まないでくださいね。
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「多分、お父さんと伊藤さん、対立するけど仲良くなるんだろうなぁ」と思っていましたが、その通り。そこは想定通りでした。
特筆すべきは、リリーフランキーの演技。彼の演技がそこはかとなく良い。なんであんなに「日本人っぽさ」を醸し出せるのだろうか。コンビニで働く、しがないおじさん。何もかも受け入れてくれそうな伊藤さん。演技に引き込まれました。
対し、上野樹里は少し平穏な日々の描写は素敵なんだけれど、なんだかハプニングが起きた時は少し演技がわざとらしい。美しいんですけどね。時たま出てくるアドリブらしき発言で、キャラがブレてたのが残念。
前回も書いた、劇場でのアメリカ人の反応については、今回も「日本のしんみりとした空気感、間」みたいなものは全く伝わってないように思いました。ただ、この映画みたいにシュールな着眼点で、設定の時点ですでに面白いような映画は、「笑ってもいいよ!」というような土台があるので、心置き無くいろんなシーンで笑いが起きていました。
この映画のテーマは、老いた父親への愛、家族への接し方、だと思っていて、図らずも日本にいる自分の父親を思い出して涙が出ました。
総合的には、ストーリーで見せる、間で見せる、その日本映画独特な感じがよかったアンケート用紙に「5」(最高点)をつけている現地人も多かったのも頷けます。欲を言えば、伏線もうちょい回収してほしかった箇所が何箇所かありましたが、それを凌駕する、作品の良さ。普段邦画は本当に見ないのですが、たまに見る邦画はいいなぁ、と思うのでした。
先週見たのはこちら。