【読書録】「植草甚一コラージュ日記〈1〉東京1976、〈2〉ニューヨーク1974」が最高だった
2017年買って・読んでよかった本のナンバーワンかもしれない。
中目黒の川沿いを歩いていると、モダンな古本屋があり、そこでたまたま手にしたこの本。中を開くと、なんと手書きの文、雑誌か何かのコラージュ入りで清書された1ページ1ページが、古めかしく、どこか愛しい。
一度店を出たが、目的だったセレクトショップに行った後、どうしてもこの本が忘れられず、友人に無理を行って戻って来て購入した。2冊で2800円と古本にしては高価だったが、現在は海外に住んでいるので、電子化されて居ない本とは出会いを大切に投資しようと決めた矢先の、出会いなので買った。これが、結果的に正しい判断となった。
1976年、トーキョーで書かれたペン日記。続編のは、なんとその2年前にニューヨークで書かれたもの。日々日記をこまめに書く植草氏の、たわいもない日常がそこにはあった。
まず、帯の「ぼくの一日は 散歩と読書で暮れていく。」
空気感のある、なんと素晴らしい一文なのか。
ジャズ評論家である植草氏の、東京とニューヨークでの、日々のこと。
「サイフォンでコーヒーをグラグラやる」だったり、「フランスの最近の小説みたいに、強情な気違いじみた強さがある」など、もう表現にメロメロ。
寝るのを忘れて夢中になって読みふけったというよりは、枕元に置いておいたり、お風呂でゆっくり読むような本。全て読み終わった後、明らかに多幸感に包まれている自分がそこに居た。
国内だと郵送で古本やリメイク版が比較的安価に手に入るので、読書好き、手書きのものが好きな方は是非読んでみてください。
こうゆう本にふっと出会うから、読書はやめられない。
これから先も、たくさん本を読みたい。